
原子間力顕微鏡(AFM)装置とその制御システム

自作の大気・液中用AFMヘッドをアサイラム・リサーチ社のコントローラで制御しています。
現在、液中での世界最高分解能(90 pm)を誇るAFMシステムです。
生体分子・生命現象の高分解能観察の他、このシステムをベースとした装置開発にも用いています。
[参考文献]
・ T. Fukuma and S. P. Jarvis, “Development of Liquid Environment Frequency
Modulation Atomic Force Microscope with Low Noise Deflection Sensor for
Cantilevers of Various Dimensions” Rev. Sci. Instrum. 77 (2006) 043701.
・ T. Fukuma, M. J. Higgins, S. P. Jarvis, “Direct imaging of lipid-ion
network formation under physiological conditions by frequency modulation
atomic force microscopy” Phys. Rev. Lett. 98 (2007) 106101.
暗室仕様のAFM装置とその制御システム

自作のAFMヘッドをSPECS社(旧Nanonis社)のコントローラで制御しています。
これも、液中での原子分解能観察が可能なシステムです。
光感受性のあるタンパク質の観察を行うために暗室化することが可能になっています。
また、温度制御などへの対応も考え、開発の自由度が高い設計になっています。
開発中のAFMとそのコントローラー

AFMコンポーネントやその制御装置・プログラムなどの開発スペースです。
AFMの多機能化や高速化を進めるために装置開発を行っています。
従来アナログ回路で行っていた制御も、近年ではFPGAを利用したプログラミング可能なデジタル回路で構成する場合が多くなってきました。
それらをコントロールするためのWindowsベースのホストプログラムの開発なため、装置開発に占めるソフトウェア開発の割合は年々上がってきています。
当研究室では、高速FPGAカードをMATLABやLabViewなどからコントロールするためのソフトウェア・ハードウェア開発環境が整備されています。
ターボ・スパッタコータ

ターゲットを2つセットして、真空を破ることなく連続して2種類の材料を製膜できる、簡易型のDCマグネトロンスパッタ装置です。
通常のスパッタコータにはロータリポンプのみで排気するものが多いですが、ターボ分子ポンプが装備されているので、酸化されやすいサンプルでも問題なく堆積できます。
膜厚計も備えており、精密な膜厚制御が可能です。
主に、カンチレバーの背面コートなどに用いています。
超純水製造装置・乾燥機・ドラフトなど

超純水製造装置としてスタンダードな地位を確立しているmilliQシステムですが、その中でも最も高性能なmilliQ Elementを用いています。
原子レベルのイメージングを行う実験のなかには、溶液中に含まれるイオン濃度に非常に敏感な場合もしばしばあります。
そのため、可能な限り高純度な純水を用いてライフサイエンスの実験を行っています。
試料調製設備

AFMやその他の手法を用いて構造や物性を計測する対象となる試料を調製するスペースです。
超音波洗浄機、精密電子天秤、pHメータ、ホットプレート、スターラなどの基本的な理化学機器を備えています。
現在は、主にモデル生体膜の試料調製を行うことが多くなっています。
機械工作設備

当研究室では、AFMを一から設計・製作しているため、機械図面を作成して外部業者に依頼するだけでなく、自分で簡単な機械加工をすることもしばしばあります。
ここには、そのための簡単な機械工作器具がそろえられています。
写真のボール盤、電動糸ノコの他に、マイクログラインダー、スポット溶接機、その他いろいろなハンドツールを備えています。
電子工作設備

当研究室では、AFM内部のセンサ回路やAFM制御回路、その他多くの電子計測回路を自分で設計・製作しています。
先端計測では、原理的な信号対雑音比(SNR)の向上だけでなく、それを実装するための技術が必要です。
そのためには、外部業者に委託して製作した回路では、十分な性能が得られない場合が多く、また、試作のための時間がかかりすぎる場合も少なくありません。
そのため、高性能なアナログ電子回路を自作できるノウハウを持っている点は、当研究室の大きな強みとなっています。